天津飯とクリリン
たま~にこんな議題を目にする。
要は地球人戦士の最強は誰かという議論である。
こんな議論になるのもこの2人は直接戦った事がないため、どちらが強いかを判断するには互いの戦闘シーンや、周りのキャラの発言を参考にするしかないというのが大きいだろう。
なので、<魔人ブウ編終了時点>で2人はどちらの方が強いのか、そして何故こんな議論が存在するのかを考察しようと思う。
【サイヤ人戦士と地球人戦士】
まず地球人戦士というカテゴリーをZ戦士全体から見てみると、サイヤ人編やフリーザ編ではあまりサイヤ人、地球人といったカテゴライズは個人的に意識はしていなかった。現にハーフとは言え、サイヤ人にカテゴライズされるであろう悟飯もフリーザ編の途中まではクリリンと大差ないイメージだったし、クリリンもそれなりに戦えてはいたのだ。
だが、人造人間編では天津飯が少し活躍したくらいで、後はサイヤ人やピッコロの活躍が目立つようになった。というのも、ピッコロは神様との融合、サイヤ人は超サイヤ人への覚醒や、更にそれを越えるといった強化イベントがあり、メキメキと力を付けていったが、地球人戦士にそのようなイベントは特になかった。で、そんな地球人戦士はと言うと、ヤムチャは人造人間編の初期から、クリリンは対17号、18号辺り、天津飯はセルゲーム開催決定後辺りから戦意を喪失していたように思うし、読者も地球人戦士がセル相手に活躍できるとも思っていなかっただろう。
そんな徐々に出来上がっていたカテゴライズ化を完成させたのは個人的な見解としてはセルジュニア戦。セルが律儀に1対1を仮定して生み出してくれたため、セルゲーム観戦中のZ戦士は漏れなくセルジュニアと戦うことになった。
悟空は消耗しておりまともに闘えていなかったが他2人のサイヤ人が互角に戦っており、地球人3人組は全員万全の状態にも関わらず手も足も出ずにボコボコにやられていた。(ピッコロは知らない)
このように、戦績がサイヤ人と地球人で見事に分かれてしまったため2つのカテゴリーが完全に出来上がってしまったのではないだろうか。
こうして、明確にサイヤ人戦士と地球人戦士というカテゴライズが完成した。が、サイヤ人の中でもそうだが地球人3人の中でも強さはしっかり分かれている(はず)。ヤムチャが地球人3人の中で最弱なのはいいとして、問題は天津飯とクリリンのどちらが強いのかといったところだ。
で、実際にこの2人だが、個人的には天津飯の方が強いイメージがある。いや、あったというのが正しいか。
【天津飯とクリリンを振り返る】※全て原作基準の考察で、アニオリや劇場版は考慮しない。
過去まで遡って考察すると、天津飯初登場の天下一武道会で、出場選手の悟空、クリリン、ヤムチャ、天津飯、ついでに餃子を強さ順に並べると 悟空≧天津飯>クリリン>ヤムチャ>餃子といったところか。この時点では、言うまでもなく天津飯の方が強いし、悟空ともほぼ互角の実力だった。決勝戦の結果だけで見れば、悟空を上回ったと言ってもいい。※この時点での悟空と天津飯の強さに関しても見解が分かれるポイントだと思うがスルー。
その後のサイヤ人編でも、クリリンと天津飯では、スカウタ―の数値的には天津飯の方が上だった。まあ、後々のことを考えればあの程度の差はほぼ互角と言っても問題ないだろうが。
だが、フリーザ編で事態は一変する。
対サイヤ人戦で唯一生き残った地球人戦士クリリンは、死んでしまった皆を生き返らせるためドラゴンボールを求めブルマ、悟飯とともにナメック星へ。道中1ヶ月程は悟飯とのイメトレくらいしかできなかっただろうから、戦闘力も大して変化はないだろう。
しかし、ナメック星人の最長老に潜在能力を限界まで引き出してもらうことで戦闘力は10000を越える数値に。(アニメでは20000と言われていたらしいがここでは考慮しない)
死んだ後に界王星に行って修業をしている天津飯もサイヤ人と戦った時よりは強くなっただろうが、そこまで強くなっているかは微妙なところ。ただ地球人戦士は、毎回悟空と同じところで修業するとその時の悟空以上に強くなっているから一概にどうとは言えないのだけれど…。
そして困ったことに、話が進むに連れて地球人戦士の戦闘での活躍が壊滅的になってしまう。フリーザ編ではクリリンがフリーザの尻尾を切断したくらいで、人造人間編も天津飯が新気功砲で第2形態のセルを足止めしたくらい。後の役割は総じてやられ役。しかも一方的にやられるだけなのだから強さなんてわかったもんじゃない。
そんな役回りなのに、人造人間編では戦闘力が表に出てこなくなったもんだから、フリーザ編終了時のクリリンと天津飯の強さや、それから3年後の人造人間編での強さがよくわからなくなってしまったのだ。
なので、ここから人造人間編以降の両者の戦績、何かしらの活躍や周りからの評価をおさらいしてみよう。
[戦績・活躍]
完全体セル→蹴り一発でKOされる
セルジュニア→惨敗
ダーブラ→石にされる
魔人ブウ→チョコにされる(死亡)
※プンターは何の参考にもならないため除外
[周りからの評価]
<人造人間編>
Dr.ゲロ→なんだクリリンか(研究所が見つかったことに対して)
ピッコロ→貴様が来たところでどうにもならん(人造人間17・18号戦で参加しなかった
ことの謝罪に対して)
ベジータ→あんなカスみたいな奴いたぶって嬉しいか?(完全体セルがクリリンを一発KOした際に)
<魔人ブウ編>
悟空→おめぇは帰った方がいい。(想像以上にヤバい場面にいるクリリンに対して)
ダーブラ→3匹程は素晴らしいエネルギーを持っている(ピッコロ・クリリンはノーカン)
[戦績・活躍]
人造人間17号→首絞めでKOされる
第2形態セル→新気功砲で足止め成功。反動で瀕死。(ダメージになった描写はなし)
セルジュニア→惨敗
魔人ブウ→気弾を相殺するも不意打ちの蹴り一発でKOされる
[周りからの評価]
<人造人間編>
亀仙人→よせ!戻ってこい!(レベルの違う戦いに助っ人として飛び立つ際に)
第二形態セル→おのれ!天津飯ごときに邪魔されるとは(天津飯の予想外な活躍に対して)
<魔人ブウ編>
魔人ブウ→かなりの達人のようだが(蹴りで一発KOした相手に対して)
周りからの評価に関しては一応魔人ブウからかなりの達人と言われているが、戦績に関しては両者勝利はない。しかし、神様との融合後のピッコロや人造人間16号でも敵わない第2形態セル相手に、ダメージを与えていないとはいえ足止めできたのだから、やはり天津飯に軍配が上がる。クリリンじゃブウの気弾相殺もそうだが、セルの足止め手段なんてないだろうし…。
今度は角度を変えて、二人の代表的な技を見てみよう。
※気功砲を連発するのが新気功砲なのかと思っていたが、ドラゴンボール超101話にて単発で使用していたため、そうではないと思われる。ただ、そうなると何が新なのかわからなくなるため一応()で表現。
サイヤ人戦で初披露。円盤型の気弾で切れ味抜群!初披露の際はナッパの頬を斬るだけで終わったが、ベジータの助言がなければあのまま切断されていたであろうことは容易に想像できる。その後のフリーザ戦でも尻尾を斬る等していたが、まともに当たったシーンは無いことからスピードはそれほどないと思われる。(悟空使用時は後ろから不意討ち気味だったため除外、18号は当たった内にカウントしていいのかわからないため同じく除外)
(新)気功砲と違い、使用者にリスクは無く連発できるため、その点ではこちらの方が優れている。
(新)気功砲
初登場時の天下一武道会決勝戦で初披露。亀仙人や餃子の反応から技の威力は勿論、使用者自身にも相当危険な技だとわかる。要所要所で活躍した技だが、これで敵を倒した場面はないというのは気円斬と同じか。ナッパ戦では左腕を切断されていたため片手で技を放っていたが、あの時、万全の状態で両手で使用していたら少しはダメージを与えられていたのだろうか。気円斬と違い、この技を避けたのは悟空以外皆無のためスピードは優れているのだろう。
問題は、この技をまともに喰らったのが格上しかいないということ。実際、喰らった連中はダメージを受けていなかった。なので戦闘力が互角レベルの相手にこの技が当たるとどうなるのかは不明。想像するしかないのだ。
以上のことを踏まえると、スピードはそれほどでもないため命中率は悪いが連発可能で、当たれば格上でも致命傷を負う気円斬と、スピードはあるが格上相手には通用せず連発は使用者本人にも危険で、同じ力量の相手であればどうなるか不明だが、恐らくかなりの威力を発揮するであろう(新)気功砲。
当然、戦闘でこれらの技の撃ちあいなんてことにはならないだろうが、技単体の性能だけで言えば気円斬が秀でているのではないだろうか。
が、技のスピードは遅いだろうから天津飯に当たるかと言われれば疑問は残る。かと言って(新)気功砲がクリリンに当たるとどうなるのかというのも明確に答えは出ない。個人的な見解として、技の優秀さで言うなら格上にも通用して連発も可能な必殺技を持っているクリリンに軍配が上がる。アニメ版ではセルに効いてなかったけどね
【人造人間編終了。空白の7年間へ】
こうなってくると結局の所、後は想像で語るしかない。
これは個人的な想像だが、人造人間編終了後から魔人ブウ編までの7年間。クリリンは武道家をやめた(戦わなくなった)とのことだが、天津飯は恐らく武道家を続けていただろう。修業をしていたと本人が言っていた訳ではないし、そんな描写もない。が、天津飯というキャラクターを鑑みるとその7年間も修業を続けていたというのは容易に想像ができる。
7年と言う期間は大きい。この期間修業をサボっていたため対セル戦では圧倒的に強かった悟飯も、しっかり修業をしていた悟空とベジータにあっさり抜かれている。
人造人間編では、大差のなかったように思えるクリリンと天津飯だが、もし想像通りクリリンが修行をサボっており、天津飯は修行を続けていたとするとこれはもう天津飯>クリリンで間違いないだろう。疑う余地もない。
【何故2人は比べられたのか】
では何故、クリリンと天津飯の強さ議論など存在するのか。理由は2つある。
1つめが人造人間編から魔人ブウ編までの空白の7年間が謎すぎること。その間クリリンは修行をサボって、天津飯が修業を続けていたということなど現実味があるとは言え結局想像でしかないのだ。想像など決定的な根拠にはなり得ない。
2つめが、魔人ブウ編初期の天下一武道会でヤムチャがクリリンの娘マーロンに放った一言「お父さん(クリリン)は世界で一番強いんだ!…地球人の中ではね」
これが例えば、「お父さんはサイヤ人にだって負けないんだ」みたいな発言であれば、対サイヤ人という、どうあがいても絶望な父の試合を不安に感じる娘を励ますための言葉として受け取れるだろう。だが、実力差が明確に描かれたわけでもなくどっこいどっこいなイメージのある“地球人の中では”などと言ったもんだから、「クリリンの方が天津飯より強い!」という層と「いやいや、天津飯の方が強いだろ」という層に分かれてしまったのではないだろうか。(というか嫁の18号は地球人としてカウントされないのだろうか)
だとすると、これは「ヤムチャの発言の真実性」VS「空白の7年間の出来事(想像)」と言っても過言ではない。全く、余計な事を言ったもんだ。
ちなみに個人的な意見だが、戦闘力だけで言えば天津飯が上回るが、実際に戦えば両者とも強力な必殺技があるので先に太陽拳を決められた方が勝つと思う。